【引退】めっちゃ後悔しました。今までありがとうございました。

ボクは、とある高校の生物部の部長をしています。高三になり、引退の時期が近づいてきたので、いつ引退してもいいようにスピーチの練習をしたいと思い、書いています。

今回は、ボクが高校の生物部をしていて学んだ、生き物たちに対する思いを書いていきます。要するに、ボクの高校時代の生物部人生の自伝です。自分語りのように聞こえるかもしれません。しかし、生き物が好きだったり、ペットを飼っていたり、そういった方たちはぜひ読んでいって欲しいです。

 

【きっかけ】高一 春

高校生になり、これなら始まるべくドラマを求めて、ボクは部活を探していました。そこで出会った、当時3年生の先輩の影響が大きいです。

その先輩は、爬虫類や両生類などを本気で愛していました。さんざん部活内容や生き物の素晴らしさを説明された後、レオパードゲッコーというトカゲモドキをボクの手に乗せてくれました。

爬虫類は気持ち悪がられることが多いので、先輩はとても嬉しそうでした。

生き物は好きでしたし、何より先輩が卒業してしまったら、あとを次ぐ人がいないと思い、そんな勝手な責任感で入部を決めた感じです。

 

【大切な存在】高一 夏

生物部のメンツ(生き物たち)の世話の仕方も覚え、ボクは楽しく過ごしていました。

なにより、爬虫類という生き物の素晴らしさにみるみる吸い込まれていきました。この世にこんなにかっこよくて、可愛くて、面白い生き物がいたのか!と。

そして同時に、そんな魅力に溢れる爬虫類たちが、下手なメディアの勝手な先入観でどれほど酷い目にあっているのかも痛感する日々となりました。

 

兼部をしていたので、兼部先の友達を連れて、生き物たちと一緒にご飯を食べたり、ボクが一方的に彼らの魅力を語ったりしていました。

しかしその友達は、生き物が嫌い、と言うよりは今まで生き物に興味を持たないで生きてきて見事先入観に支配された、というような人でした。

生物部で飼っていたカブトムシのメスをゴキブリと言って飛び上がったエピソードから彼の人柄はよくわかるでしょう。

ボクは彼の先入観をどうにか振り払おうと努力しました。彼らに実際に関わったこともないのにこんなこと言うな、と。

ボクは彼とそこそこ仲が良かったので、せめて彼らへの関心を持ってくれればと思い、ボクが体験したエピソードを話しました。

 

ペットショップでは、わざわざ気持ち悪いだとか、死んでる?とか言いに来る輩がいること。

爬虫類が好きな女の子が、親から好きでいることを禁止されたり、友達からからかわれたりして、好きだった爬虫類を嫌いになってしまったこと。

ヘビがマウス(エサ)を食べる動画がなぜか炎上すること。

 

そんな勝手な先入観で苦しんでいる人たちがいるのに、キミはなぜよく知らないものを見向きもしないで否定するのか。

ボクは別に爬虫類を飼う人が増えて欲しいとは思っていませんでした。爬虫類にとってはストレスのかかるものに成りうるからです。

ただ、爬虫類を好きな人が苦しんでいるということを伝えたかったのです。

 

【死と生】高一 秋

夏休みも終わり、文化祭が近づいてきました。このときくらいから、今まで幽霊部員だった当時2年生の先輩ももっと部活に出るようにお願いしました。夏休みはさすがに1人じゃ回しきれなかったからです。

文化祭は生き物をできるだけかっこよく魅せる、魅力を伝えるというのを目的に頑張りました。

また、卵を孵したいというのと、爬虫類や両生類だけ(3年の先輩の影響)では先入観によって誰も来ないかもしれない、と思い十姉妹も新たにメンバーに加わりました。

そして、少しでも生き物を身近に、大切に思えるように、カブトムシの幼虫を配ることにしました。

ボクは、幼虫たちのことを幸せになって欲しいって思っていたため、なれないパソコンを使って、飼い方をまとめたプリントを作りました。ケースも用意し、土も用意しました。

文化祭も、三年の先輩の力も合わせて、なかなか納得のいくものだと思っていました。

しかし、なぜか幼虫たちが、どんどん死んでいってしまったのです。原因は、ボクが購入してきた土(腐葉土)が園芸用であったこと、湿度が高すぎたことがありました。

 

思考が停止しました。ボクの責任です。

親のカブトムシが亡くなった時は、悲しかったけど、自分は一生懸命世話したと胸張って言えたので、笑顔で埋められました。しかし、ボクの無力さゆえに殺してしまった幼虫たちには、情けないけど、どうしても後悔が滲んで、上手く埋められませんでした。

 

そんななか、十姉妹の子供が産まれました。とても小さくて、しわくちゃで、か弱いもののように見えました。

親はいるけれど、非常に勝手ながら、ボクが守っていかないと、と思ってしまいました。

幼虫たちを殺してしまったので、かなり慎重でした。とくに、無理に手を出さないようにしました。

だって、彼らは十姉妹だから。ボクなんかより親の方が子育てはうまいのです。

 

冬になると、この子の名前を学校に募集しました。学校中に伝えたかったのと、生物部の宣伝のためです。

来年から部長になるという自覚はありました。

 

【出逢い】高二 春

春休みになると、ボクはお年玉などを全額使って、自費でもう1匹のレオパを飼いました。交尾させるためです。

エサのためのゴキブリも飼い始めましたが、かなりゴキブリにハマってしまいました。

生物部の一員であるイモリは不発でした。

レオパも来年こそはと勇んでいました。

 

二年の先輩は夢のために転校し、三年の先輩は大学生になりました。そして、必死な部活動勧誘の末、元々生物部に入りたいと考えていた子が一人入部してくれました。

部長として、色々な知識を教えこみました。

そして、昨年度の経験から、生き物を飼う上で大切なのは、知識、環境、愛情の順だ、と伝えました。

とにかくもう、後悔が残る最期を迎えさせたくなかったのです。

 

【予期せぬ別れ】高二 夏

これは高校生活において、ボクが最も後悔したことだと思います。

 

夏休みの世話も終わり、登校日。ボクが春休みに飼った子がいなくなっていたのです。

よく見ると、フタが空いていました。フタがよく閉まっておらず、脱走してしまったようです。

急いで探しましたが、どうしても見つかりません。ググっていい方法はないかと探しましたが、効果なし。さすがに外国産のゴキブリを撒くことは出来ず、夜行性なので、せめて学校に泊まれないかと頼みましたが、断られました。

ボクは今までにないほど後悔しました。

お金を失ったからではなく、ボクはこの子を責任をもって最期まで面倒見て、胸を張れる飼育をすると誓っていたからです。

遺骨どころか、最後に人目見ることも出来なかったのが、本当に悔しいです。

今でも後悔しています。

 

【経験値ゼロ】高二 秋

大学に行った先輩が、自分の飼っているクレステッドゲッコー(ヤモリ)が孵化したので、一匹飼わないかという話をしてもらいました。

レオパの件の後悔は未だ忘れてはいませんでしたが、クレスは好きだったので、飼わせてもらうことにしました。

クレスは入門種だと聞いていたし、知識もそれなりにはもっていたし、なにより爬虫類の飼育経験値はある方だと思っていたからです。

しかし、それは間違いだったと知ることになります。

クレスのベビーは湿度不足により呆気なく死んでしまいました。爬虫類だからと、その頑丈さに甘えてしまったのかもしれません。ベビーだったので、誤飲してはいけないと保湿性の高い床材入れず、キッチンペーパーを使っていました。

不本意ながら、最初は死んでしまっていることにとても驚いてしまいました。なぜなら、例の輩が生きてる爬虫類を死んでる?と思うのと同じように、死んでいる姿を見て生きていると思ってしまったからです。

所詮ボクもただの初心者、にわかだったのです。

先輩には謝罪しました。学んだことがあればいいとおっしゃってくれましたが、今も許されてなければいいです。

 

そして、幼虫の時も、レオパの時も、クレスの時も、とうとうボクは一度も泣きませんでした。と言うよりは、泣く資格などないと思って、泣けませんでした。

 

【引退】高三  春

それでもゴキブリは心の癒しだったので、新しい種も飼い始めてました。

 

【教訓】高三 今

ぶっちゃけ、これからの生物部がどうなっていくかは分かりません。

けれど、学んだ教訓たちは、これからの自分や、今読んでいるあなたの後悔、というよりは、無理矢理飼われていて不幸な道をたどってしまう生き物を減らせればと思います。

 

ほかにも、グッピーが孵ったり、椿の種を集めたりと楽しかったことは沢山あります。

だけど、生き物を飼う上と、後悔ばっかり残ります。最初から最後まで楽しいばっかりなのは、よほどの熟練者か、祖父母的な立ち位置で飼育している(飼い主ではない)人達だと思います。

 

そもそも飼育というものは人のエゴです。それを理解している時点で後悔は避けられません。しかし、理解しなければならないと思っています。必ずしも、彼らはボクらに飼われたいとは思ってないということをです。

 

そして、愛情だけでは生き物は買えません。生き物を買う上で必要なのは、知識、環境、愛情の順です。

 

どんなときも生き物を優先します。「〜してあげてる」ではなく、「〜させてもらってる」の姿勢じゃないといい飼育とは言えません。

 

このように、振り返ってみると、後悔ばかりの部活でした。

だけど、ボクが非常に勝手ながら思わせてもらっていることがあります。それは、

みんなに会えて、本当によかった

ということです。

 

ここまで読んでくれてありがとうございます。あなたと生き物の関係を考え直すきっかけになればいいなと願っています。